エンドラーズの異系統交配
エンドラーズを異系統交配した場合、どのような表現をした仔が産まれてくるのか?
これは例えば、オレンジタイプのオスと クラッシックタイプのメスを 交配させた場合、 産まれてくる仔(オス)の表現(色やそのパターン)はオレンジタイプになるのか、クラッシックタイプになるのか、 或いは両方がミックスされたような表現になるのか? といったことです。
これついては、日本胎生魚協会のある会員の方から エンドラーズは基本的にオスからオスに遺伝すると教えて頂いたことがあります。 つまり上記の例で言えば、産まれてくる仔の表現は父親と同じオレンジタイプになるということです。 おそらく多くの方が実験し、その結果に基づいて言われているのでしょうから そうなのだろうなと思っていました。 しかし、ポピュラーなクラッシックタイプやオレンジタイプとは 表現に差異が多い Top Yellow Sword(以下、TYS) などを飼育するようになってから、果たして本当に同じ結果になるのだろうかと思うようになりました。 また、TYSの表現は何となく遺伝的に劣性に感じていて、 異系統間で交配した場合2つの系統をミックスしたような仔も中には産まれてくるのでは?とも思いました。 そこで実際に交配して確認することにしました。
Top Yellow Swordのオス | |
Black Peacockのオス |
実験はTYSのオスと Black Peacock(Center Peacock) のメスを交配することにしました。 オスをTYSとしたのは上記の理由によります。 メスをBlack Peacockとしたのは次の理由からです。
- すぐに処女メスを用意できる。
- TYSと表現が異なる点が多い。
- Center Peacockは遺伝的に優勢だとAdrianさんが 言っていたのを覚えていて、 これが産まれてくる仔の表現に何らかの影響を及ぼすかもしれないと思った。
Top Yellow SwordのオスとBlack Peacockの処女メスをペアリング |
ペアリングしてから1.5ヶ月程で仔がとれました。 産まれた稚魚は全部で29匹でした。 我が家では一度に10匹程産まれる場合が多いので ちょっとびっくりすると共に ラッキーだと思いました。 たくさんの稚魚が産まれた方が多くのデータを取れるからです。
異系統交配して産まれた稚魚たち |
それから1ヶ月経過して雌雄の判別をしました。
すると、29匹の仔のうち27匹がメス ( ̄□ ̄;)!!
ほとんどがメスだった ヾ(´ー`)ノ |
産まれた稚魚が数匹だけの時は全てメスといったことがありましたが、 30匹近く産まれて93%がメスって、、。2匹しかデータ取れないじゃん(あぅ)。
そして、その2匹のオスは生後2ヶ月後次のような表現になりました。
若オス - その1 | |
若オス - その2 |
見ての通り、父親であるTYSに非常に似た表現です。
- 尾びれはまさにトップイエロー。
- Black Peacockは背びれに黒が入るが、父親と同じように透明。
- ボディの黒の入り方(Top Black Bar や Center Monocle)が父親そっくり。
- 目のすぐ後ろにオレンジが発色するのも父親そっくり。
- ボディ中央のmonocleを囲むように発色するブルーも父親そっくり。
- Center Peacockは出現していない。
ただ1点気になったのは、2匹ともトップイエローテールの部分に余分な黒が発色し、 綺麗ではないことです。
トップイエローテールにノイズ(?)が |
この部分が綺麗に発色しない個体はTYSの水槽からも 時々出現するので、これがメス(Black Peacock)の影響だとは単純に言えないのですが。
ということで、オスが2匹だけしかとれず中途半端な内容になってしまいましたが、 「エンドラーズは基本的にオスからオスに遺伝する」を 実感することはできました。
ちなみに10年以上エンドラーズをブリーディングしている Adrianさんは次のように言っています。
〜Endlers R Us Forumから抜粋〜
Two established lines crossed with each other will result in= most young males looking like father, mate these F1 with each other and you'l get = males that look like father, males that look like mother strain, and few males with mixed traits from both strain.
「異なる2つの系統を交配した場合、産まれてくるオス(F1)のほとんどは父親の系統に似る。 その産まれた仔たちをさらに交配させた場合、産まれてくるオス(F2)には父親の系統に似たものや 母親の系統に似たものが出現し、2つの系統をミックスしたような表現をした個体はほとんど出現しない。」 ということのようです。 これを読むとF2までとってみたい気になりますが、 Adrianさんを信じて実験はここで終了することにします(笑)。 だって結構手間がかかるので。
参考サイト
- Endlers R Us Forum
- エンドラーズにフォーカスしたコミュニティサイトである Endlers R Usのフォーラムです。 ここではエンドラーズについて様々なディスカッションが活発に行われています。 飼育・繁殖・病気などエンドラーズに関するたくさんの情報が蓄積されていますので、 「検索ページ」を利用すれば知りたい情報を入手できるでしょう。 Adrianさんの投稿 も多数あり、とても勉強になります。 会員登録(無料)すればこのフォーラムで質問することができます(英語ではありますが)。 このフォーラムでエンドラーズの遺伝についておもしろいと思ったトピックを以下にリストしています。
- Endlers R Us Forum - Female varieties
- エンドラーズのメスの遺伝子が仔に与える影響についてのトピック。 長年のブリーダー経験に基づいたAdrianさんのコメントがとても勉強になります。 エンドラーズとグッピーの交雑に関する興味深い情報もあります。
- Endlers R Us Forum - dominant gene/color/strain??
- エンドラーズの優勢遺伝についてのトピック。 長年のブリーダー経験に基づいたAdrianさんのコメントがとても勉強になります。
- Endlers R Us Forum - ELB Genetics?
- エンドラーズの優勢遺伝についてのトピック。 長年のブリーダー経験に基づいたAdrianさんのコメントがとても勉強になります。